【2024年最新版】整骨院・接骨院が最低限知っておくべき広告規制にまつわる2つの法律

整骨院・接骨院では「柔道整復師法」という法律によって広告規制があります。

広告規制を守らない場合、30万円以下の罰金が課せられます。

この罰金は広告を作成した業者ではなく、保健所に提出した届出の開設者になります。

「知らず知らずに広告違反をしていました」とならないよう、整骨院・接骨院の広告規制について知っておくべき「柔道整復師法」と「景品表示法」について2024年最新版をまとめましたので参考にしてください。

整骨院・接骨院での広告の定義

前提として、整骨院・接骨院では「誘引性・特定性・認知性」の3つの条件に合致するものを広告と定義しています。

ホームページ・ブログは広告規制の対象になる?

[図解] 媒体別の広告かどうかの判断

結論、現時点ではホームページやブログは広告規制の対象外です。

その他媒体が広告に該当するかをまとめた図解となります。

論点となるのが「認知性」という観点です。

ポスティングチラシ、新聞折込、看板は日常生活で認知できるので広告に該当します。

ただし、ホームページ含めたオンライン上の媒体は、自分からアクセスしないと認知できないので、認知性の観点から広告規制の対象外になるという見解が多いです。

実際に、40年の歴史を誇る厚生労働省が認可している保険請求業務団体「全柔協(全国柔整鍼灸協同組合・公益社団法人全柔協)」の「整骨院の広告規制Q&A」という記事にも「ホームページは広告の制限の対象外です」と記載されています。

<blockquote>

ホームページは現在のところ広告の制限の対象外ですが、誇大広告と思われる表現や患者さんの誤解を招く表現は避け適正な表現にする必要があります。

</blockquote>

リスティング広告・バナー広告は広告規制の対象

ただし、リスティング広告やバナー広告など、認知性を高める取り組みをした場合のホームページ及びブログは広告規制の対象になるとされています。

リスティング広告、バナー広告、Facebook広告をしてはいけない、ということでなく、広告をするのであれば広告規制の対象内で行いましょうということです。

整骨院・接骨院の広告に記載して良い7項目

柔道整復師法の広告で記載して良い内容は以下の7項目です。

柔道整復師法では以下の4項目で記述されています。

<blockquote>

(広告の制限)

第二十四条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。

一 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所

二 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項

三 施術日又は施術時間

四 その他厚生労働大臣が指定する事項

</blockquote>

[参考]

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC1000000019_20220617_504AC0000000068

「その他厚生労働大臣が指定する事項」とは以下の7つです。

<blockquote>

  • 一 ほねつぎ(又は接骨)
  • 二 柔道整復師法第十九条第一項又は第二項(再開の場合に限る。)の規定に基づき届け出ている施術所である旨
  • 三 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
  • 四 予約に基づく施術の実施
  • 五 休日又は夜間における施術の実施
  • 六 出張による施術の実施
  • 七 駐車設備に関する事項

</blockquote> 

[引用] あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 (昭和二十二年法律第二百十七号)(抄

よく見る整骨院業界の違反広告例としては以下のようなものが挙げられます。

違反広告表現 理由
体の不調は○○接骨院・鍼灸院にお任せ! 誘引性のあるメッセージや料金の広告不可
初回限定50%オフ 誘引性のあるメッセージや料金の広告不可
施術者またはお店の写真 柔道整復師法第24条の記載事項以外の広告不可
お問い合わせはこちらまで!

https://sample.com/

柔道整復師法第24条の記載事項以外の広告不可
交通事故専門の整骨院 柔道整復師法第24条の記載事項以外の広告不可
施術者のプロフィールや想い 柔道整復師法第24条の記載事項以外の広告不可
交通事故の相談を受け付けています。その他、各種保険取り扱い!  柔道整復師法第24条の医療保険療養費支給申請ができる旨(申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)以外は広告不可
施術歴8年、120名以上の不調を治してきた実績 柔道整復師法第24条の施術者の技能・施術方法又は経歴に関する事項は広告不可
以下の項目に効果があります!

肩こり、腰痛、頭痛、ぎっくり腰、関節痛、手足の痺れ、スポーツ外傷、猫背等の姿勢 骨盤の歪み、慢性疲労、ダイエット、むくみ、睡眠不足、交通事故後の後遺症等

効能効果や適応症を謳う文言は広告不可
カイロプラクティック・リラクゼーションマッサージ・アロマテラピー・整体も行っています 法定外医業類似行為の広告は不可

実は、世の中の99%のチラシや看板が広告違反になっているのがわかるかと思います。

広告規制外のホームページやブログは景品表示法に注意

ホームページやブログは柔道整復師法の広告規制については無関係ですが、景品表示法の広告規制は守る必要があります。

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」で、ホームページやブログ、さらに院内チラシやポスターなど、全てが対象となる法律です。

景品表示法には「表示についての規制」と「景品についての規則」が存在し、特に注意すべきは「表示についての規則」になります。

表示規制について

景品表示法の表示規制は、誇大な広告、根拠のない広告、誤認を招く広告に対しての規制で、大別すると「優良誤認表示の禁止」「有利誤認表示の禁止」「指定告示」の3つに分類されます。

3つの表示規制の中で整骨院・接骨院業界が注意すべきは「優良誤認表示」と「有利誤認表示」であり、それぞれ注意すべき点を実例で挙げておきます。

優良誤認表示 ・○○県口コミNo1

・実績数地域No.1

・顧客満足度98%

有利誤認表示 ・一回の施術で元通り!

近年問題となっているのが「イメージ調査によるアンケート」という表現です。

実際に行政処分となった事例が犬用の健康食品を販売していた事例です。

 

[引用] (消費者庁公式HP)株式会社バウムクーヘンに対する景品表示法に基づく措置命令につい 

当たり前ですが、意図した誤解を生むような広告は絶対にやめましょう。

景品規制について

まず、整骨院・接骨院では景品規制の違反広告に該当することはほとんどありません。

整骨院の広告で頻繁に目にするのが割引ですが、割引は景品規制の対象外となります。なので「サービスより極端に高い特典をつけてはいけない」とだけ覚えておきましょう。

ステルスマーケティングも景品表示法違反

近年の大きな変化としては2023年10月1日からステルスマーケティングが景品表示違反に該当することが消費者庁より発表されました。

[参照] 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

具体的には第三者に依頼・指示した口コミには全て「PR」と記載する必要があります。

依頼・指示の定義としては「金銭等の見返り」が発生したかどうかであり、無償提供

広告規制による行政処分の過去事例と措置命令の内容

実は、柔道整復師法の広告規制での事例は過去1件もありません。そのため、チラシから看板含めて野放しになっているのが整骨院・接骨院業界の広告の現状です。

ただし景品表示法は注意が必要で、過去に景品表示法違反で行政処分の事例が存在します。

景品表示法違反の過去事例

時期 整骨院名称 違反内容
2023年3月14日 くまのみ整骨院 優良誤認表示
2019年11月19日 MJG整骨院 ア 景品表示法に違反する表示を行っていたことを一般消費者に周知徹底すること。 

イ 再発防止策を講じて、これを同社役員及び従業員に周知徹底すること。

ウ 今後、同様の表示を行わないこと

具体的な景品表示法違反の箇所や見解についてまとめられていますので、気になる方は埼玉県の正式な情報を確認してください。

行政処分の措置命令の内容

大別すると以下の3点になります。

  1. 違反の表示を改修すること
  2. 違反の事実を一般消費者に周知徹底すること
  3. 再発防止に努めること

罰則や営業停止などはなく、社会的信用を失うような内容となっております。

医療法及び医療広告ガイドラインは整骨院・接骨院は対象外

整骨院・接骨院業界では、医療法や医療広告ガイドラインは規制の対象外となります。

ただし前提としては柔道整復師法は医療法や医療広告ガイドラインを参考にして作られており、あとを追うような形でガイドラインが作られていることは事実です。

実際、厚生労働省が開催する柔道整復師法の広告について議論される「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」の参考資料の欄には「医療広告ガイドライン」が記載されています。

今後の対策を事前に講じるためにも、医療法に基づく医療広告ガイドラインは目を通しておくと参考になるかと思います。

整骨院の広告規制の背景と歴史

広告規制の波は美容医療サービスの問題から始まりました。

2014年、美容医療サービスに関する消費者庁への相談件数が4年前と比較して167%も増加しました。

この状況を受けて2015年に消費者委員会からの要請で美容医療ならびに医療業界全体の広告の適正化を目指す動きが強まりました。

医療業界全体の広告規制の年表

2012年9月 医療機関ホームページガイドライン」制定。医療機関のウェブサイトに関する初の公式指針。
2015年7月 消費者保護を目的に、美容医療の情報透明性向上と患者同意確保のための「美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議」が行われました。
2016年3月 第1回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」開催。医療情報提供の適正化を目的とする。 
2016年11月 医療機関のウェブサイト等の取扱い等について」を公開。
2017年8月 医療機関のウェブサイトにおいて不適切な表示が認められる等の指摘を踏まえ「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」が開始。
2019年11月 第8回 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が開催。「広告ガイドライン(案)作成方針」を公開。
2021年7月 医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」を作成。医療広告規制の具体的な適用例を示す。
2023年1月 医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)」を作成。
2023年2月 第9回 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」を開催。整骨院という表記や広告のあり方について「施術所の名称等について」を作成。
2023年10月 医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第3版)」を作成。

たった10年でウェブサイトの規制についての議論が行われており、2018年の「医療機関のウェブサイト等の取り扱いについて」では、今まで広告規制の対象外だったホームページも中止・是正命令及び罰則の対象となりました。

規制の内容
・内容が虚偽にわたる広告

・他と比較して優良である旨の広告

・誇大な広告

・客観的事実であることを証明できない内容の広告

・公序良俗に反する内容の広告

広告規制強化の予算は5,000万円

さらに年間5,000万円の予算で「医業等に係るウェブサイトの監視指導体制強化」が進められ、より厳格な規制強化が進められています。

医業等に係るウェブサイトの監視指導体制強化の具体的な取り組みは以下の6つです。

1. ネットパトロール事業 不適切な医療広告を発見し、是正を促す活動。
2. 医療広告協議会 医療広告に関するガイドラインの策定と運用を行う組織。
3. 目標処理件数の増加 是正が必要な広告の処理件数を増やし、効果的な監視を目指す。
4. 普及告発活動の実施 一般消費者に向けての情報提供と啓発活動。
5. 消費者庁との連携強化 関連機関との協力を通じた監視体制の強化。
6. コールセンターの設置 消費者からの相談や通報を受け付ける窓口の設置。

厚生労働省が公表する「ネットパトロール事業について(令和4年度)」によると、監視対象は件数の80%を占めている美容・歯科の分野で、実は柔道整復師の件数は1件もありませんでした。

ただ、医療機関ネットパトロールの通報フォームには「整骨院」というカテゴリーが存在するので整骨院が対象であることは間違いありません。

[引用] 医療機関ネットパトロール

このような背景を踏まえ、規制強化が着実に進んでいる医療業界、中でも現時点は監視対象となっていない整骨院も今後の広告規制の動向を注視して適切な対応を取る必要があります。

整骨院の広告規制の未来

整骨院・接骨院の広告規制の背景と歴史を踏まえ、今後の広告規制についてまとめてみました。

新規出店時に「整骨院」という名称が使えなくなる

今後、新しいお店を出店する際に「整骨院」が施術所名称として使用できなくなることが、厚生労働省案で大筋合意となりました。

[引用] 第9回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会

そもそも「整骨院」という名称は関係法規上は認められておりませんでした。「ほねつぎ」あるいは「接骨院」が正しい表記です。

ただ、整骨院という名称で広まってしまったため保健所でも受理している状況です。

今後は新規店舗の出店、あるいは移転時の手続きの際にも施術所名の変更が求められる方針なので、あらかじめ「接骨院」と表記するのが良いです。

【まとめ】整骨院事業者が遵守すべき広告ガイドライン

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